ハンドメイドや裁縫で作品を作る際に欠かせないアイテムのひとつがファスナーです。ファスナーには素材やデザインなど多くの「種類」があり、また「長さ」も用途に合わせて選ぶ必要があります。適切な種類と長さを選ばないと作品の仕上がりや使い勝手に影響するため、これを知らず失敗することもあるでしょう。本記事ではファスナーの基礎知識から各種の特徴、長さの選び方までを網羅的に解説します。適材適所のファスナー選びに役立つ最新情報を分かりやすく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ファスナーの種類と長さの基礎知識
ファスナーとは、衣類やバッグなどに使われ、2本のテープに取り付けられた連続する要素(ムシ)をスライダーで噛み合わせることで開閉する留め具です。ジッパーやチャックとも呼ばれ、何度でも自在に開閉できるのが特徴です。ファスナーを大きく分類すると3つのタイプに分けられ、それぞれ用途や特徴が異なります。
ファスナーの3つのタイプ
ファスナーは以下の3種類に分類されます。
- 点ファスナー:いわゆるドットボタン(スナップボタン)で、衣類や布製品で2つのパーツを合わせて留めるものです。ボタンのように打ち具で打ち付けたり縫い付けたりして使用し、着脱が容易な点が特徴です。
- 面ファスナー:フック(凸)とループ(凹)の2つの面で貼り合わせるファスナーです。一般的にマジックテープやベルクロとも呼ばれ、手軽に付け外しできる反面、熱や汚れに弱いため強度を必要とする用途には不向きです。
- 線ファスナー:私たちが通常「ファスナー」と呼ぶもので、テープに並んだ歯車状の要素(エレメント)をスライダーで噛み合わせて留めるタイプです。衣類やバッグなど幅広い分野で使用されており、点・面ファスナーに比べて細かく多彩なバリエーションがあります。
線ファスナーの構造
線ファスナーはエレメント(務歯)とスライダー(引手)など複数の部品から構成されます。エレメントはテープに縫い付けられた金属や樹脂製の歯車状のパーツで、スライダーはこれらのエレメントを噛み合わせたり離したりする役割を担います。また、ファスナーには両端が固定された止製品(閉じファスナー)と、下端が離れる開製品(開きファスナー)の2種類があります。例えば止製品はポーチやクッションの入れ口など端が閉じていてほしいものに使われ、一方、開製品はジャケットやパーカーの前開きに使われます。さらに逆開ファスナー(両方向ファスナー)と呼ばれる両端に2つのスライダーが付いたタイプもあり、コートの裾など下から開閉したい用途に向いています。
止製品と開製品の違い
止製品(閉じファスナー)は、スライダーを一番下まで下ろしても左右の布地が完全には離れないタイプのファスナーです。ポーチやバッグ、小物類の開口部に多く用いられます。一方、開製品(開きファスナー)は、スライダーを下ろすと左右の布地が完全に離れるタイプで、主にジャケットやセーター、カーディガンなど前開きの衣類に使用されます。また、逆開製品は開製品の一種で、2本のスライダーが付いており、裾を上げずに下側からも開けられるためコートやロングパーカーなどに便利です。
素材別!ファスナーの種類と特徴
ファスナーは使用目的やデザインに応じて素材・構造でいくつかの種類に分かれます。ここでは代表的な線ファスナー(ジッパー)について、素材別にその特徴と適した用途を紹介します。
金属ファスナー
金属ファスナーは、エレメント部分が金属製で作られた丈夫で重厚感のあるファスナーです。デニムやレザー製品、ジーンズの開閉に多く使われ、大人っぽい雰囲気やヴィンテージ感を演出します。ただし、金属部分にミシン針が当たると針が折れる恐れがあるため、厚手の布地や補強のある箇所に向いています。
ビスロンファスナー
ビスロンファスナーはエレメントが樹脂(ポリアセタールなど)製のファスナーです。金属ファスナーと同程度のサイズ感でありながら軽量であり、カジュアル衣類やアウトドアウェア、ブルゾン、ダウンジャケットなどによく使われます。金属に比べて柔軟なので壊れにくく、カラーバリエーションも豊富なため、衣類のデザインに合わせて目立たせずに取り付けることができます。
コイルファスナー
コイルファスナーはエレメントがナイロンやポリエステルの樹脂でできており、コイル状に成形されたファスナーです。柔軟で薄く軽量なため、曲線にもなじみやすく扱いやすいのが特徴です。ワンピースやスカートなど洋服はもちろん、小物入れやポーチ、バッグなどにも広く使われています。コイルファスナーにはさらに、取り付けると表から見えずに目立たない コンシール(隠し)ファスナー や、ナイロン製の極細エレメントを使う エフロンファスナー、布テープがニット素材の フラットニットファスナー などのバリエーションがあります。
コンシールファスナー
コンシールファスナー(隠しファスナー)は、コイルファスナーの一種で、ファスナーを取り付けた際に表側からほぼ見えないようにする特殊なタイプです。薄く細いエレメントを使用し、布が重なるように縫い合わせられるため、ワンピースやスカートの脇などに取り付けても外観をすっきりさせられます。軽い布地の衣服やドレスで多用され、ファスナーを目立たせたくない場合に最適です。
| ファスナーの種類 | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| 金属ファスナー | 丈夫で重厚感 デニムや革に最適 |
ジーンズやレザージャケットの前開き |
| ビスロンファスナー | 樹脂製で軽量 カラー豊富 |
ブルゾン・パーカー・リュックサック |
| コイルファスナー | 柔軟で薄手 カーブにもなじむ |
ワンピース・スカート・小物入れ |
| コンシールファスナー | 使用時に目立たない 細幅で軽量 |
ドレスやスカートの脇、クッションカバー |
ファスナーの長さの選び方と測り方
ファスナーの長さは、市販品では10cm、20cm、30cmなどセンチ単位で種類があり、用途に合わせて選びます。ここではファスナーの長さの測り方や、選び方のポイントについて説明します。
ファスナーの長さの測り方
ファスナーを購入する際は、実際に使う用途の口の長さを正確に測り、それよりやや短い長さのファスナーを選ぶと安心です。止製品(クローズドファスナー)の場合は、スライダーを一番下まで下ろし、下端の金具から上端のストッパーまでの長さを測ります。開製品(オープンファスナー)の場合は、スライダーでつないでいる状態で必要な長さを測るとよいでしょう。一度取り付けて詰めることは難しいため、誤差が出ないように慎重に測ることが大切です。
一般的な長さのバリエーション
手芸店などで販売されているファスナーは、主に10cm、15cm、20cm、25cm、30cmといった長さが多く、さらに丈夫なメタルファスナーは40cm以上の長いものもあります。また、連続した長さを必要とする場合は巻きファスナー(ロールタイプ)がおすすめです。巻きファスナーは8~9m程度の長いテープ状のファスナーで、寝具やカーテンなど長い直線部分に適しています。裁断して使用するため、必要な長さに合わせて調整できます。
長さ選びのポイント
ファスナーは余長がある分には加工できますが、不足した分は補えないので、作品の完成サイズよりも長いファスナーよりも、少し短いものを選ぶのがポイントです。例えばバッグのまちやパーカーの身ごろ寸法が30cmの場合、長さ30cmのファスナーを選ぶと1cmでも長いと収まりませんが、28~29cmであれば問題なく取り付けられます。ファスナーは簡単にカットできないため、必ずあらかじめ必要な長さを確認してから購入しましょう。
巻きファスナー(ロールタイプ)
巻きファスナーは長さの自由度が高いロール状のファスナーで、手芸店では「巻き」として販売されています。シーツやクッションカバーのファスナーには巻きタイプがあり、8m以上の長いものもあります。使用する際は必要な分だけカットしてスライダーを取り付けます。大量に使用したり、大きな作品を作ったりする際に便利ですので、長さを細かく調整したい場合に活用してください。
☆注意ポイント:ファスナーは簡単に短くできないため、製作するサイズをなるべく正確に測って購入しましょう。反対に長すぎる分は切らなければ使えません。
用途別!ファスナーの選び方のポイント
作る作品の種類や使用シーンに応じて、ファスナーの種類や長さ、開き方を選ぶことが大切です。ここでは主な用途別に適したファスナーの選び方を解説します。
衣類向けのファスナー
洋服に使うファスナーは、デザイン性や着心地も考慮して選びます。トップスやボトムスの脇や裾には目立たないコンシールファスナーや細幅のナイロンファスナーが適しています。パンツやスカートの前開きには、金属ファスナーやビスロンファスナーなど丈夫でロック機能付きのものが向いています。また、コートやパーカーの前開きには、開製品のしっかりとした金属ファスナーやビスロンファスナーが多く用いられ、自由に着脱しやすい設計が必要です。伸縮性のある生地には伸縮性のあるテープのファスナーを使うと、動きに合わせてフィットします。
バッグ・ポーチ向けのファスナー
バッグやポーチなど小物には、軽くて扱いやすいコイルファスナーやビスロンファスナーが向いています。特にポーチ類には目立つ色やチャーム付きの引き手でアクセントを付けることも多いです。大きめのトートバッグやリュックには耐久性を重視して金属ファスナーや分厚いビスロンファスナーを使うことがあります。なおバッグにはファスナーの長さが長めのものも多く、25~30cm以上が一般的なので、必要に応じて追加または大きいサイズを選びましょう。オープンファスナー(開きファスナー)を使えば、バッグの間口をガバッと開く使い勝手が良い開き方になります。
寝具やインテリア向けのファスナー
寝具カバーやクッションカバーなどには、着脱しやすいファスナーが求められます。シーツや掛け布団カバーには長尺の巻きファスナーやフラットニットファスナーを使うと便利です。クッションカバーには片開きの止製品ファスナーが一般的で、端が閉じている仕様が好まれます。装飾性よりも実用性が重視されるため、あまり目立ちにくい細身のコイルファスナーや布製のフラットファスナーを選ぶことが多いです。また、子ども用や介護用などで頻繁に洗うものには、色落ちしにくい強度の高い素材を選ぶと良いでしょう。
まとめ
ファスナーには金属や樹脂、ナイロンなど素材による種類の違いのほか、開閉方式(止製品・開製品)や特殊な形状(コンシールなど)もあります。また、長さについても用途に応じて10cm単位から太巻きタイプまで多様な選択肢があり、使う作品に合わせて慎重に選ぶ必要があります。本記事ではファスナーの基礎から素材別・用途別の特徴、長さの選び方まで詳しく解説しました。正しくファスナーの種類と長さを理解して適切に選ぶことで、ハンドメイド作品の完成度をぐっと高めることができます。ぜひご紹介したポイントを参考に、作品にぴったりのファスナーを見つけてください。
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