服や小物の留め具として使われるスナップボタンは、穴を開けずに留められる便利な装飾パーツです。しかし一口にスナップボタンといっても、金属製・プラスチック製、縫い付け式・打ち付け式など豊富な種類があります。本記事では、それぞれのスナップボタンの特徴や使い方、選び方、安全に使うためのポイントまで解説します。併せて、初心者でも試しやすい取り付け方や手芸用品店でよく見かける最新スナップボタン情報もお伝えします。スナップボタンには星形・ハート形などのデザインバリエーションもあり、用途に合わせて選ぶことができます。
スナップボタンの種類とは?
一般的にスナップボタンとはボタンホールが不要で、凹凸のパーツを押し合わせて留める構造のボタンです。大まかに分けると、針と糸で縫い付ける「縫い付けタイプ(手付けタイプ)」と、専用工具で打ち付ける「打ち付けタイプ(カシメタイプ)」の2種類があります。最近ではプラスチック製のスナップボタンも普及しており、簡易工具で取り付けられるプラスナップやイージースナップといった製品も登場しています。以下では、これらの種類について詳しく見ていきましょう。
縫い付けタイプ(手付けタイプ)
縫い付けタイプのスナップボタンは、金属や樹脂製の凸パーツと凹パーツの2つを、針と糸で生地に縫い付けて取り付ける方式です。針と糸だけで簡単に取り付けられるため、初心者や小物作品にも使いやすいのが魅力です。糸が緩んでも自分で付け直せるのでお直しが簡単ですが、打ち付けタイプに比べると強度はやや低めです。また力をかけすぎると外れやすいので、赤ちゃん服など力のかかりにくいアイテムに向いています。
小さなお子さんの衣類や柔らかいニット、生地の裏側を出せない薄手の洋服などに適しています。また、布で包んだ「シルクスナップ」と呼ばれるタイプもあり、金属が見えないので肌触りがよく、肌着やジャケットの裏地、小物バッグのアクセントに使われることが多いです。
打ち付けタイプ(カシメタイプ)
打ち付けタイプのスナップボタンは、主に金属製で、キャップ・ソケット・ゲンコ・ホソなど4つのパーツを使って生地を挟んで取り付ける方式です。縫わずに専用の打ち具やハンマーで金属をかぶせて固定するため、縫い付けタイプよりも非常に強度が高く、ジャケットやジーンズ、バッグなど厚手の生地によく使われます。取り付けには打ち具やプレス機が必要で、家庭用のハンマーと打ち台でも代用できます。一度取り付けると簡単には外れないため、アウトドアウェアなど耐久性が必要な衣類に向いています。
プラスチックスナップ(プラスナップ・イージースナップ)
プラスチック製のスナップボタンは、金属製に比べて軽量でサビに強く、カラーやデザインが豊富に揃うのが特徴です。代表的な製品としては、専用プライヤーで取り付ける「プラスナップ」や、取付前に生地に穴を空ける「イージースナップ」があります。どちらも家庭用のミニハンマーやハサミで簡単に取り付けられるので、手軽に使える点が魅力です。耐久性では金属製には及びませんが、肌触りが良く刺繍や水通しにも強いため、ベビー服や布小物、インテリア雑貨など繊細な用途に向いています。
タイプ別スナップボタンの特徴と用途
スナップボタンのタイプ別に、その特徴と向いている用途をまとめた表がこちらです。
| タイプ | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 縫い付け式スナップ | 針と糸で取り付け。取り付けや修理が容易で柔らかい生地にも使いやすい。 | ベビー服・ニット・薄手の衣類、小物 |
| 打ち付け式スナップ | 専用工具で打ち付け。強度に優れ、厚手の生地にもがっちり固定できる。 | アウター・デニム・バッグなど厚手のアイテム |
| プラスチックスナップ | 軽量で錆びにくい。専用工具で取り付けられ、カラフルな見た目も魅力。 | 子供服・布小物・インテリア雑貨など |
このように各タイプには向き不向きがあります。製作するアイテムや求める強度に合わせて選ぶとよいでしょう。たとえば、赤ちゃん服ややわらかい素材には縫い付けタイプやプラスチックスナップが多く使われるのに対し、厚手のジャケットやバッグには打ち付けタイプが向いています。
縫い付けタイプの特徴
縫い付けタイプのスナップは取り付けや修理が比較的簡単な点が魅力です。柔軟なニット生地や薄手のファブリックにもなじみやすく、表に縫い目が目立ちにくいものが多いです。ただし耐久性は打ち付け式よりも低めで、大きな力ではずれることがある点は留意が必要です。軽い力で着脱する衣類や小物、ベビー用品のふたなどに適しています。
打ち付けタイプの特徴
打ち付けタイプは金属製で強度が高く、しっかり固定されるのが特徴です。厚手布に打ち付けても生地が破れにくく、重量のあるジャケットやバッグなどヘビーな使い方に向いています。専用工具を使う分、家庭での付け直しは難しいですが、一度取り付けると外れにくく信頼性が高いのがメリットです。
プラスチック製スナップの特徴
プラスチック製スナップボタンは金属に比べて軽量で錆びる心配が少なく、カラーバリエーションやデザインの豊富さが魅力です。指で押し込めるものや手軽な工具で付けられるタイプが多く、手芸初心者でも扱いやすいのがメリットです。磁器やプラスチックならではの柔らかさと安全性から、子供服や布小物、デザイン性の高い雑貨類によく使われています。
スナップボタンの使い方と取り付け方法
スナップボタンはタイプごとに取り付け方法が異なります。ここでは各タイプ別の基本的な取り付け手順を紹介します。
縫い付けスナップボタンの取り付け手順
縫い付けタイプのスナップボタンは針と糸を使って取り付けます。まず、取り付ける位置を決めて生地に印を付け、必要な工具を準備しましょう。
- スナップボタンの凸側と凹側を布上に配置し、位置を正確に印付けします。
- 糸を2本取りにして針に通し、針を布の裏(底面)から表に出します。
- 凸側パーツを布の表面に押し当て、針をパーツの穴から通して生地を数回しっかり縫い付けます。
- 糸を布の裏で玉結びし、余分な糸を切ります。
- 同様の手順で凹側パーツも別の布に縫い付けて、スナップボタンの取り付けを完了させます。
打ち付けスナップボタンの取り付け方法
打ち付けタイプのスナップボタンは専用工具やハンマーを使って取り付けます。以下は一般的な手順です。
- スナップボタンの4つのパーツ(キャップ、ソケット、ゲンコ、ホソ)を確認し、取り付ける位置に印を付けます。
- 表地にキャップ(凸パーツ)とソケットを重ね、裏地にゲンコ(凸と噛み合うパーツ)とホソを重ねます。
- パーツがずれないように押さえ、専用の打ち具やハンディプレスで強く打ち付けて金属をかしめます。
- 裏返してパーツが確実に固定されていることを確認します。必要に応じて再度打ち直し、安定させましょう。
プラスチックスナップの取り付け方
プラスナップやイージースナップなどのプラスチックスナップは専用プライヤーで簡単に取り付けられます。基本的な手順は以下の通りです。
- プラスチックスナップ凸側のパーツを表地に、凹側のパーツを裏地にそれぞれ当てます。
- プライヤーで凸側パーツを強くはめ込み、ポストのツメが生地に食い込むように圧着します。(製品によっては金槌で軽く打ち込むタイプもあります。)
- 反対側も同様に取り付け、スナップボタンを完成させます。
スナップボタンを使う際の注意点
スナップボタンを安心して使うために、以下の点に注意しましょう。
素材と強度の確認
用途や生地に合った強度のスナップボタンを選びます。薄手の服には縫い付けタイプやプラスチック製を、厚手・高い強度が必要な場合は打ち付けタイプを使いましょう。金属製の場合、耐久性は高いものの錆びや金属アレルギーのリスクもあるため、ニッケルフリーやサビに強い素材を選ぶと安心です。
生地補強と取り付け位置
スナップボタンをつける生地は、事前に印をつけて位置を決め、必要に応じて当て布や接着芯で補強しましょう。強い力がかかる箇所や生地の端に近い場合は、補強がないと生地が裂ける原因になるため注意が必要です。
誤飲・安全性への配慮
小さなお子さん用の作品では、スナップパーツが外れた際の誤飲に注意しましょう。取り付けが不十分だとパーツが取れやすいので、一度つけた後に引っ張ってしっかり固定されているか確認してください。また、金属製部品は衝撃で破損することもあるため、子供の指が挟まないように適切な位置に設置しましょう。
洗濯とメンテナンス
スナップボタンは使用後もメンテナンスが可能です。縫い付けタイプは糸が緩んだ場合に再度縫い直せますし、プラスチック製は錆びや色落ちの心配が少ないと言えます。洗濯機で洗う際は、他のものに引っかからないようネットに入れるなど一工夫すると安心です。
まとめ
スナップボタンには用途に応じて多様な種類があります。縫い付けタイプは手軽に使えますが、強い力には弱い面があります。一方、打ち付けタイプは耐久性に優れて厚手の素材に最適です。プラスチック製スナップは軽量で錆びにくく、カラフルなデザインが魅力です。用途や生地に合わせて最適なスナップボタンを選び、正しい取り付け方法と注意点を守れば、安全で美しい仕上がりになります。これらの特徴や取り付け手順を理解して、ぜひ手芸作品作りに役立ててください。
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