ファスナーの長さが合わずお困りの方は多いです。
特に手作りのバッグや洋服では、市販のファスナーサイズがぴったり合わないことがありますよね。
そんな時、ファスナーの長さを短く詰めたり、場合によっては延長したりして調整する技術が役立ちます。
本記事では、ファスナー長さ調整の基本から具体的な手順、種類別のポイントまでをわかりやすく解説します。必要な工具やコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ファスナーの長さを調整する方法
ファスナーの長さ調整とは、市販のファスナーが目的のサイズに合わない場合に、自分で長さを適切に調整する作業です。
普通のファスナーはあらかじめ決まった寸法しかないため、希望する長さが手に入らないケースがあります。そんな時、ファスナーの「詰め加工」などと呼ばれる技術を用いて、長さを自分でカットして調整することができます。
この方法を使えば、たとえば20cmのファスナーを15cmに詰めたり、逆に延長用パーツで長さを補うことも可能です。
調整にあたっては基本的な手順と工具が重要です。次項では必要な道具を、続く章では具体的な手順を紹介します。
ファスナー長さ調整の基礎知識
ファスナーの長さ調整は略して「ファスナーを詰める」と呼ばれる加工で、洋服やバッグ製作の現場でもよく行われています。基本的には以下の手順で行います:
1. 調整後の希望長さを測定して印をつける
2. 余分な歯(エレメント)を取り除く
3. 新しい上止め(ストッパー)を取り付ける
4. ファスナーテープを切り仕上げる
ただし、ファスナーの種類(金属製、コイル製、ビスロン製)によって細かい手順や注意点が異なります。後述する種類別の調整方法もしっかり確認しましょう。
調整が必要になるケース
ファスナー長さ調整が必要になるケースはさまざまです。
手芸店や生地屋でも長いファスナーを短く詰めてもらえるサービスがありますが、自宅で急いで作品を仕上げたいときには自分で加工するケースも珍しくありません。例えば市販のファスナーは18cmや20cmが主流ですが、バッグの開口部には15cmしか必要ない場合や、ファスナーを取り付ける生地の幅に合わせたい場合があります。
また、既存のファスナーが傷んで新しく付け替えたい時に、ちょうど良い長さが手元にないといった状況でも、長さ調整の技術が役立ちます。このように必要に応じてファスナーを詰める方法を知っておくと、手芸の幅が広がります。
ファスナーの長さ調整に必要な道具
長さ調整を行うには、いくつかの工具や材料を用意します。正確に作業するための基本的な道具は以下の通りです。
- メジャー・定規:調整後の長さや位置を正しく測る
- チャコペンや鉛筆:調整位置に印をつける
- ペンチ(ラジオペンチなど):上止めや下止め金具の固定に使用する
- くい切り・エンドニッパー:エレメント(ファスナーの歯)をカットし、取り除く
- はさみ(できればピンキングばさみ):ファスナーテープを切る、ほつれ止めに利用
- 上止め金具・下止め金具:調整後にスライダーを抜けないように新しいものを取り付ける
これらの道具は手芸店やホームセンターで購入できます。専用のくい切りがない場合でも、精密ニッパーやカッターが代用可能です。ただし工具の選び方によってはファスナーを傷めるリスクもあるため、作業は慎重に行いましょう。どうしても手元に合う工具がない場合や、失敗が心配な場合は手芸店の長さ調整サービスを利用するのも一つの方法です。
ファスナーを短くする基本手順
ファスナーを短くする際の一般的な手順を紹介します。最初にファスナーを裏返し、作業しやすい向きに整えましょう。
- 長さを測り印をつける:まず、ファスナーの長さを測り、希望する仕上がり長さに印をつけます。ファスナーは下止めからスライダー先端までの長さで測るのが一般的です。
- 不要な歯(エレメント)を除去する:印を越えた部分のエレメント(ファスナーの歯)を取り外します。コイルファスナーはくい切りで一部を切り、繊維を引っ張りながら歯を押し出して除去します。ビスロン・金属ファスナーは歯を一つずつニッパーやマイナスドライバーで外していきます。
- 新しい上止め(ストッパー)を取り付ける:エレメントを除去した部分に上止め金具を取り付けます。コイルファスナーの場合はテープを包むようにしてツメ式上止めを挿し込みます。ビスロン・金属ファスナーの場合はコの字型の上止めでテープと歯を挟み込み、ペンチでしっかり固定します。
- テープを切り仕上げる:ファスナーの余分なテープを切り落とします。形状をきれいに仕上げるため、ピンキングハサミで切るか、普通のはさみで切った後にライターで切断面をあぶります。これによりほつれを防止します。
以上のように手順を進めれば、ファスナーをきちんと短く調整することができます。次節では、ファスナーを長くする方法を見ていきましょう。
ファスナーを長くする方法
通常のファスナーは片方が始点、もう片方が終点となる構造なので、途中で長さを延長するのは容易ではありません。基本的には最初から目的の長さ以上のファスナーを用意するか、エクステンションパーツを利用する方法があります。以下に代表的な方法をいくつか紹介します。
- 長いファスナーを購入し直す:必要な長さよりも余裕のあるファスナーを購入し、取付位置に合わせて不要部分をカットします。手順が簡単で確実ですが、新たにファスナーを購入するコストがかかります。
- 専用エクステンションパーツを使う:市販されている延長アダプターやチェーン状のエクステンションを使用します。スライダーの続きに取り付けて簡易的に延長できますが、製品によって互換性を確認する必要があります。
- ファスナー同士を連結する:構造上ほとんど実用的ではありません。一般的なファスナーには連結用の仕組みがなく、二つのファスナーを強引につなげると滑りが悪くなるため推奨されません。
上記の方法で解決できない場合は、ファスナーを取り付けている布側の調整(縫い代を伸ばす・詰める)を検討するのも手です。無理にファスナー同士を連結するのはトラブルのもとになるので、最終的には適切な長さの製品を選ぶことをおすすめします。
ファスナーの種類別の調整ポイント
ファスナーは金属・コイル・ビスロンの大きく3種類に分けられます。形状が異なるため、取り外し方や使用する工具も変わってきます。ここではそれぞれのファスナーに合わせた調整のコツを解説します。
金属ファスナーの場合
金属製ファスナーはエレメントが金属で非常に丈夫です。調整では、くい切り(ニッパー)で歯を少しずつ切り落としながら、ペンチで1つずつ取り外します。テープを傷つけるとファスナーが使えなくなるので、慎重に根元を切り落としてペンチで引き抜きます。
除去後は、新たな上止め金具(コ型)で端を固定します。金具を挟み込み、ペンチでしっかりと締め付けて完成です。
コイルファスナーの場合
コイルファスナーはナイロンなどの樹脂が螺旋状に縫い込まれた柔軟なファスナーです。くい切りを使ってエレメントの先端を切ってから、指でコイル部分を押し出して外します。出てきたコイル部分を根元から切り取って除去してください。
上止め金具はツメ式を使用し、裏側からテープに刺してペンチでツメを内側に折り曲げて固定します。必要に応じてライターでテープ端をあぶり、ほつれを防止します。
ビスロンファスナーの場合
ビスロンファスナーはプラスチック製のエレメントが特徴的です。射出成形されたコ型のエレメントを持ち、硬めですが金属に比べて外しやすいです。くい切りでエレメントのコ型部分をつかみ、ペンチで1つずつ引き抜きます。
取り外し後は金属ファスナーと同じコ型上止めを使い、テープとエレメントを挟み込んでペンチで固定します。作業後にスライダーがスムーズに動くか、抜けないかを確認しましょう。
調整時の注意点とコツ
ファスナー調整の際に失敗しないために、以下のポイントに注意しましょう。
- エレメント(歯)を外す際の注意:くい切りなどでエレメントを切るときは、テープまで深く切らないように注意します。テープを傷つけるとほつれの原因になるため、歯だけを少しずつ取り除くイメージで行いましょう。
- 上止め金具の確実な固定:上止め金具は必ずペンチでしっかりと潰して固定します。金具が浮いてしまうとスライダーが外れる可能性があるので、プライヤーで押さえながら十分に圧着してください。
- テープのほつれ対策:テープの先端はピンキングばさみで切るとほつれにくくなります。もし通常のはさみで切る場合は、切断面をライターで軽くあぶって溶かすか布用接着剤でほつれ止めをしておくと安心です。
- スライダー動作の確認:調整後は必ずスライダーを上下に動かし、ファスナーがスムーズに開閉できるか確認します。異音や詰まりがあれば、歯の除去が不完全か、止め金具が緩んでいる可能性があるため、再度点検しましょう。
以上の点を守って作業すれば、自作でも安全にファスナーの調整ができるでしょう。どうしても不安な場合は、手芸店などの専門サービスを利用するのも検討してみてください。
まとめ
ファスナーの長さ調整は、必要な工具と正しい手順を押さえれば自宅で簡単に行えます。基本の手順は「長さを測って印をつける→余分なエレメントを除去する→上止め金具を取り付ける→テープを切って仕上げる」の4ステップです。金属・コイル・ビスロン各種のファスナーで細かい方法は若干異なりますので、種類に合わせて作業してください。
一方、ファスナーを延長したい場合は、延長パーツの使用や事前に長いファスナーを用意する方法が確実です。記事内で紹介したコツと手順をうまく活用すれば、自作のバッグや洋服にぴったり合ったファスナーを簡単に調整できるでしょう。
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