洋服や雑貨作りで、ジャストサイズのファスナーがなかなか手に入らないことがあります。
オープンファスナー(開閉できる両開きのファスナー)の長さを調整する技術を身につければ、手持ちのファスナーを簡単にカスタマイズ可能です。
この記事では、最新の方法を踏まえて、必要な道具やステップ、さらには注意点までを詳しく解説します。
自分でできる手縫いの方法から、専用工具を使ったプロの仕上げ方まで、順番にご紹介しますので参考にしてください。
目次
オープンファスナー 長さ調整の基本
オープンファスナーとは、衣服などでよく使われる両端が分離するタイプのファスナーです。
ジャケットやパーカーの前開きなどに用いられ、下部が固定されないのが特徴です。
ファスナーの長さ調整は、購入したファスナーが必要な長さと合わない場合に行われます。
長さを調整することで既製サイズにとらわれず、作品にぴったり合った仕上がりにできます。
ハンドメイドで作る衣服や雑貨では、ファスナーの長さが仕上がりに大きく影響します。正確に長さを調整すれば、初心者でも安心して作品を完成できます。
オープンファスナーとは
オープンファスナーは、一方の端が完全に分離して開く構造になっており、ファスナー上部の「上止め」を取り外せばスライダーを抜き取れます。
このため、衣服に取り付ける際にファスナーを上下を入れ替えずにすむため便利です。
下部が固定されない分、自由に脱着できるメリットがありますが、長さ調整の際には特殊な対処が必要です。
長さ調整の目的とメリット
ファスナーが長すぎると裾からはみ出してしまい、短すぎると留め具からファスナーが飛び出すなど問題があります。
長さを調整する目的は、作品に必要な長さに合わせることで、使用感を向上させることにあります。
既製サイズで合わない場合、自分で長さを変えてぴったり合うようにできるのがメリットです。
自分の手で長さをカスタマイズすれば、既成の規格にないサイズでも納得のいく仕上がりが叶います。
例えば、既製より長いファスナーを用意して必要分だけ短くすれば、余らず必要な長さを得られます。
閉鎖型ファスナーとの違い
オープンファスナーとクローズドファスナーでは、構造だけでなく調整方法も異なります。
クローズドファスナーは下端が固定されており、長さ調整では下止めを外す必要があります。
一方オープンファスナーは下端が開放されているため、ファスナー上部を切断して新しい上止めを作るのが基本です。
どちらもスライダーが外れないように留め具の処理が重要ですが、それぞれ構造に合わせた対応が必要です。
オープンファスナー長さ調整に必要な道具・材料
オープンファスナーの長さ調整には、適切な道具と材料を揃えることが大切です。
基本的にはハサミ、糸、針といった家庭にある道具で十分対応できますが、より確実に仕上げるには専用ツールを使う方法もあります。
ファスナー本体は必要な長さより少し長めのものを購入し、余分をカットするのがポイントです。
調整作業をスムーズにするため、定規やマスキングテープなども用意しておくと便利です。
必要な基本道具
まず揃えたいのは、裁縫で使う糸と針、そして布地を切るハサミです。
作業中に正確な寸法を測れるよう、定規やメジャーも用意しておくと便利です。
ファスナーのエレメント(歯)を傷めないよう、刃が細い裁縫用ハサミを使うと安心です。
また、ファスナーと同色の糸を選ぶと仕上がりが目立ちにくくなります。
あると便利な専門道具
より正確に作業するには、ペンチやプライヤーが役立ちます。
硬質な金属ファスナーの場合、上止めをしっかり固定するのに使います。
また「クイキリ」という専用工具はファスナーを切断する際に便利ですが、クオリティ向上には役立つものの100円ショップのペンチでも十分代用可能です。
ファスナーの選び方
ファスナー素材は、国産メーカーのものが信頼性が高いです。
特にYKK製のファスナーは耐久性があり、開閉もスムーズとされています。
ナイロン製(コイル)タイプは柔軟で初心者にも扱いやすく、価格も手頃です。
必要なら長さの余裕を持って購入し、調整時にカットすることをおすすめします。
オープンファスナーの長さを短くする方法
オープンファスナーの長さを短くする手順は比較的シンプルです。
アパレル業界ではこの作業を「ファスナーを詰める」とも呼び、家庭でも取り入れられています。
代表的な方法は、ファスナーを重ねて長さを決め、余分をカットしてから、新たに上止め部分を作ることです。
ここでは基本的な手順を順番に解説していきます。
長さの測定と印付け
まず、ファスナーを希望の長さになるよう折り返して重ね、余分な部分にチャコペンやマスキングテープで印をつけます。
測った長さは数ミリ余裕を持って印をつけると、仕上がった時にちょうどよい長さになります。
長さを決める際は、仮留めして服や小物に合わせ、実際のイメージを確認しておくと安心です。
印がつけられたら念のため再度長さを確認しましょう。
ファスナーをカットする工程
印の位置に合わせて、ファスナー上部のエレメント(噛み合わせ部分)をハサミで慎重にカットします。
ナイロンや樹脂製の場合、歯と歯の間にハサミを入れて切るときれいに切断できます。
金属製ファスナーは硬いので、刃が丈夫なニッパーやペンチを使って少しずつ切ると精度が上がります。
いずれの場合も、エレメントに無理な力が加わらないようゆっくり作業することが重要です。
糸で縫い留めてスライダーを固定
カットした部分にはスライダーが抜けないよう縫い留めをします。
ファスナーと同色の糸で歯の隙間を数回かがり縫いし、端を折り込んで針目が目立たないようにします。
およそ10~20回程度縫い重ねればしっかり固定でき、スライダーが外れなくなります。
縫い終えたら糸端をしっかり始末し、針目が解れないようにしておきましょう。
専用ストッパーで仕上げる方法
より商用のような仕上げにしたければ専用の上止め金具を取り付けます。
まず「クイキリ」で残ったエレメントを取り外し、代わりにファスナー止め(上止め金具)を取り付けます。
器具を使うと作業は少し複雑になりますが、市販品のように美しい仕上がりになり、耐久性も高まります。
作業には慣れが必要ですが、きれいな仕上がりが期待できます。
オープンファスナーの長さを長くする方法
オープンファスナーを長くするケースは稀ですが、知っておくと役立つ場合があります。
ファスナー自体を延長することは難しいため、長いものを購入するか、代わりの方法を検討する必要があります。
ここでは、ファスナーを長くする際の考え方や対策を紹介します。
延長は基本的に困難
オープンファスナーは下端が開放されている構造上、簡単に長さを延ばす方法はありません。
もしファスナーの長さが足りない場合は、既製品の長いファスナーを使うか、後述するような工夫を活用する必要があります。
複数のファスナーを無理につなぎ合わせると見た目や動作に問題が出る可能性があるため注意してください。
長いファスナーを購入して調整する
最も確実なのは、必要な長さ以上に長いオープンファスナーを購入し、不要部分を短く調整する方法です。
手芸店や通販では60cm~70cm以上の長いオープンファスナーが手に入りやすくなっています。
また、あえて長めのファスナーを選べば、余裕をもってカットできるので安心です。
このようなファスナーを選べば、カットして長さを短くするだけで目的のサイズが作れます。
部品を追加する方法
もう一つの工夫としては、ダブルスライダー(両引手)のオープンファスナーを使う方法です。
例えば、2本のファスナーを合わせて同じ長さになるように配置し、ダブルスライダーを両方に通すと、一体化したように使えます。
ただしこの方法はやや複雑で、取り付けには慣れが必要なため、基本的には長尺ファスナーを購入するほうが手軽です。
オープンファスナー長さ調整時の注意点
ファスナーの長さ調整を行う際には、いくつか注意すべき点があります。
特にオープンファスナーは構造上スライダーが外れやすいため、仕上げを丁寧に行う必要があります。
失敗すると製品が使えなくなる恐れもあるため、慎重に作業しましょう。
以下のポイントを押さえ、安全かつ綺麗に仕上げるコツを覚えましょう。
スライダーの脱落に注意
オープンファスナーは下端が開放されているため、カット後にスライダーが外れやすくなります。
カットしたエレメントは縫い留めるか、新しい金具でしっかりストッパーを取り付けて確実に固定しましょう。
作業後は実際にスライダーを上下させて、緩みや外れがないことを必ず確認してください。
万が一外れると危険なので、十分な強度で固定されているか再確認することが重要です。
切りすぎ・寸法ミスに注意
ファスナーをカットすると元に戻せないため、印付けとカットの際には慎重に作業します。
もし誤って短くなりすぎるとファスナーが使えなくなるので、印付けとカットの段階で長さを何度も確認しましょう。
作品に合わせて何度か仮組みし、少しずつ余剰を切り詰めていくのが安心です。
段階的に調整しながら進めれば、失敗のリスクを抑えられます。
ファスナーの素材別のコツ
ファスナーの素材や種類によっても扱い方は変わってきます。
ナイロンコイルタイプは比較的柔軟でカットしやすく、初心者でも扱いやすいです。
金属ファスナーやビスロンタイプは硬めなので、切断の際には慎重に角度を確認しながら進めましょう。
いずれのタイプも丁寧に作業すれば対応できますが、それぞれの特徴を踏まえて作業することが大切です。
オープンとクローズドの調整比較
オープンファスナーとクローズドファスナーの調整方法の違いをまとめると以下のようになります。
| 項目 | オープンファスナー | クローズドファスナー |
|---|---|---|
| 構造 | 上下が分離するタイプ | 下端が固定されているタイプ |
| 調整箇所 | 上端をカットし、新たに上止めを作成 | 下端のストッパーを外し、新たに下止めを作成 |
| ポイント | スライダー脱落防止のため、しっかり縫い留めや上止め固定が必要 | 下止めを確実に固定し、スライダーが外れないように処理する必要がある |
このように、オープンファスナーは上部の処理がポイントです。一方でクローズドファスナーは下端のストッパー処理が必要となります。自身のファスナーのタイプをしっかり理解し、適切な手順で調整してください。
まとめ
オープンファスナーの長さ調整は、正しい手順と道具があれば自分でも簡単に行えます。
まずは必要な長さを測って印をつけ、余分部分を丁寧にカットしましょう。
カット後は糸や専用金具でスライダーの脱落を防ぐことが大切です。
本記事で紹介した方法と注意点を押さえれば、市販品にも負けない仕上がりが実現できます。
適切に調整することで、より機能的で美しいハンドメイド作品に活用しましょう。
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