スナップボタンとドットボタンは衣服や雑貨に使われる留め具で、見た目こそ似ていますが、取り付け方法や強度、使用シーンなどに大きな違いがあります。
本記事では最新情報を交えて、それぞれの特徴を詳しく解説し、目的に合ったボタン選びのポイントも紹介します。手芸や洋裁で失敗しないための参考にしてください。
ドットボタンとスナップボタンの違い
ドットボタンとスナップボタンは両方ともパチンと留めるタイプの留め具ですが、用途や構造、名前の由来に違いがあります。初心者にとっては区別が難しいものですが、使い方や取り付け方を理解すれば判断しやすくなります。ここではまずそれぞれの基本的な特徴を押さえ、両者の違いを大まかに把握しましょう。
一般的に「ドットボタン」という場合、主に金属製で厚手の生地に使われる機械付けのスナップボタンを指します。一方「スナップボタン」は広い意味では糸で縫い付けるタイプも含むボタン全般を指し、軽い生地や身近な衣服によく用いられます。続くセクションで両者を具体的に見ていきましょう。
ドットボタンとは
ドットボタンとは、金属などで作られた機械付けのプレスボタンのことです。ボタンを留めるたびに「パチッ」という音が鳴り、何度でも着脱できます。
上部にキャップ(表側の装飾部)と凹形の部品(ソケット)があり、下部には凸形の部品(スタッド)とポストがあります。これら4つのパーツを専用の打ち具と打ち駒で生地に圧着して留めます。金属製のため強度は非常に高く、厚手のデニムや革製品、アウターのような重衣料に向いています。
スナップボタンとは
スナップボタンは、ボタンホールを使わずに指でパチンと留められる留め具の総称です。糸で縫い付けて使用する手付けタイプと、打ち具を使って留めるカシメタイプがあります。前者はレディース衣類やベビー服、小物などに多く使われ、手軽に仮留めできる反面、ドットボタンほど強度は高くありません。
後者は金属製の部品を打ち付けて留めるもので、頑丈な作りのため厚手の生地やアウトドア用品、ガーデニングエプロンのような耐久性が必要なアイテムに適しています。
名称と構造の違い
日本では一般的に、糸で縫い付けるタイプは「スナップボタン」、機械で圧着するタイプは「ドットボタン」と呼び分けることもあります。ただし、実際には両者の構造や用途は非常に似ているため、ドットボタンも広い意味ではスナップボタン(スナップファスナー)の一種と考えられます。名称の違いは取り付け方法に由来する部分が大きいため、「糸付け」か「カシメ」かで使い分けられると理解するとわかりやすいでしょう。
ドットボタンとスナップボタンの特徴比較
以下の表は、ドットボタンとスナップボタンの主な違いを項目ごとにまとめたものです。取り付け方法や使用素材、強度、用途などで比較していますので、両者の特徴をひと目で確認できます。
| 比較項目 | ドットボタン | スナップボタン |
|---|---|---|
| 取付方法 | 専用の打ち具で金属製パーツを圧着 | 糸で縫い付けるタイプや手動の打ち具で圧着 |
| 素材 | 主に金属製(プラスチック製もあり) | 金属製からナイロン製まで多様 |
| 強度 | 非常に高い(厚手生地向け) | 一般的にドットボタンよりやや弱い |
| 使用場所 | 厚手のデニムや革製品、アウターなど | ベビー服、シャツ、小物、カジュアルアイテム |
| デザイン性 | 刻印やロゴ入りモデルが多い(高級感あり) | 色や形が豊富で、生地に合わせやすい |
ドットボタンの特徴と種類
ドットボタンは主に金属とプラスチックの2種類に分けられ、それぞれ用途に合わせて使い分けられます。まず金属製は耐久性が高く、アウターやバッグなどしっかりした生地に向いています。一方、プラスチック製は軽量でカラーバリエーションが豊富なので、子供服やスポーツウェアなどで好まれています。また、いずれの場合も取り付けには専用のプレス機が必要ですが、一度取り付けると外れにくく安定した留め心地が得られます。
金属製ドットボタン
金属製ドットボタンは強度が非常に高く、繰り返し装着する用途に適しています。一般的に真鍮や鉄などを素材とし、表面にニッケルや銅メッキを施した製品が多いです。キャップにはブランドのロゴやデザインを刻印できるものが多く、パチンと留めたときの音と重厚感のある見た目が魅力です。デニムや革製品、ジャケットやバッグなど、フォーマル・カジュアル問わず幅広いアイテムで使われています。
プラスチック製ドットボタン
プラスチック製ドットボタンは軽量で取り付けが容易なため、トップスやスポーツウェア、ベビー服など幅広い素材に向いています。主に耐衝撃性と耐磨耗性に優れたポリアセタール(POM)が使われ、豊富なカラー展開やサイズバリエーションが特徴です。加工もしやすく、鮮やかな色や模様入りのものも多いため、服や雑貨のアクセントとしても楽しめます。ただし金属製ほどの高い強度はないため、用途に応じて使い分けが必要です。
ドットボタンの取り付け方法
ドットボタンの取り付けには専用のプレス機や打ち具が必要です。上部パーツと下部パーツを正確な位置にセットし、プレス機などで強力に圧着することで固定されます。家庭用の簡易打ち具でも取り付けられる商品もありますが、業務用プレス機ほど締め付ける力が弱いため注意が必要です。硬い板などの上に置いて作業しないと、布がずれて打ち具が正常に動作しないこともあります。
【注意】ドットボタンの取り付けには正しい位置合わせと十分な圧力が欠かせません。不安な場合は練習用の硬い板の上で試し打ちし、新聞紙の上では作業しないようにしましょう。
スナップボタンの特徴と種類
スナップボタンは手付けタイプ(糸付け)とカシメタイプ(打ち具使用)の2種類に大別できます。いずれもプレスボタンの一種ですが、用途や取り付け方が異なります。以下では代表的な種類と特徴を見ていきましょう。
糸付けタイプのスナップボタン
糸付けタイプのスナップボタンは、上部と下部のパーツに糸を掛けて縫い付けることで固定します。シルクスナップのような小さめの金属製ボタンは、女性用衣料の装飾に多く使われます。ナイロン樹脂製のタイプもあり、金属アレルギー対策や軽量化に便利です。家庭用ミシンや手縫い用の針で取り付けられるため手軽ですが、縫い目がほどけるリスクがあるので、縫い方に工夫が必要です。
プラスチックスナップボタン
プラスチック製のスナップボタン(プラスナップ)は、布を挟んで手で簡単に嵌めることができる点が特徴です。針や糸を使わずに装着できるため、ベビー服や介護用衣類、小物などに広く利用されています。種類によっては取り付けに専用の工具が不要で、カジュアルな見た目が楽しめます。しかし、金属製に比べると強度が低く、頻繁に着脱する部分では緩みやすい点に留意しましょう。
イージースナップボタン
回すだけで着脱できる「イージースナップ」ボタンは、小学校の制服や高齢者用衣服などで便利に使われています。パーツを回転させることで留め外しできる構造のため、ドライバーのような工具を用意する必要がなく、取り付け後も位置の微調整が可能です。ただし構造上、簡単に外れる可能性もあるため、乱暴な力がかからない箇所での使用が望ましいでしょう。
スナップボタンの取り付け方法
糸付けタイプのスナップボタンは、通常の針と糸で布に縫い付けるだけで取り付けられます。カシメタイプ(ドットボタン)は、ドットボタンと同様に上下パーツを揃えて専用打ち具で圧着します。プラスチック製スナップの場合、小型のプライヤー式ツールでも圧着できますが、完全に固定するにはプレス機を使用するのが確実です。作業時は生地をよく整えて位置がずれないように注意しましょう。
用途別の使い分け方
ドットボタンとスナップボタンは、素材や使い方に応じて使い分けるのが基本です。厚手で耐久性が求められるアイテムにはドットボタンを、軽量で柔らかい素材やこまめに着脱する場面にはスナップボタンを選ぶと良いでしょう。それぞれの特徴を踏まえて用途別に選び方のポイントを見ていきます。
生地や用途に合わせて選ぶ
生地が厚手で硬い場合、金属製のドットボタンが適しています。例えば、デニムや革、厚手のキャンバス生地のバッグやジャケットでは、しっかり留まるドットボタンが便利です。見た目にも硬質で高級感があり、耐久性も抜群です。一方、ニット素材や薄手の綿、シルクなど繊細な生地には、糸付けタイプやプラスチック製スナップボタンが向いています。軽い力で留められ、布を傷めにくいのが利点です。
耐久性と強度で選ぶ
頻繁に着脱するアイテムでは、圧着力が強いドットボタンが向いています。作業着やアウトドア用品など、使用中にボタンが外れると困るシビアな用途には、金属製のドットボタンが安心です。反対に、取り外す機会が少ない小物や、あまり力のかからないカジュアルウェアでは、軽くて扱いやすいスナップボタンで十分な耐久性があります。とくに子供服や介護用衣料などはプラスチック製のスナップを使うことで、万が一破損しても被害が少ない設計になります。
デザインやカラーを考慮する
ボタンの見た目も大切です。金属製のドットボタンは刻印入りで存在感があり、フォーマルで重厚な印象になります。対してスナップボタンは様々なカラーや形状があり、生地に合わせてコーディネートしやすいのが特徴です。鮮やかな色や透明な素材のスナップボタンを選べば、ポップで可愛らしいデザインが楽しめます。アイテムの用途や好みに合わせて、色や質感までこだわって選びましょう。
取り付け工具のポイント
取り付け工具はボタン選びの際に確認しましょう。ドットボタンはプレス機や打ち具を使う必要があるため、家庭での少量取り付けにはやや不便です。スナップボタンの糸付けタイプであれば通常のミシンや手縫い道具で対応可能で、カシメタイプも手動の簡易打ち具やミニプレスで取り付けられます。コストや作業量に応じて、工具の有無が取り付け可否の判断基準になります。
ドットボタンとスナップボタンのメリット・デメリット
最後に、ドットボタンとスナップボタンのメリット・デメリットを整理しておきましょう。両者の長所と短所を比較することで、目的に合わせた使い分けがより分かりやすくなります。
ドットボタンのメリット
ドットボタンの長所は耐久性と強度に優れている点です。金属製なのでパーツがしっかり噛み合い、繰り返し使用しても緩みにくく、布地の厚みに関係なくきちんと留められます。また、刻印入りのモデルや凹凸のあるデザインなど装飾性に富む製品が多く、洋服や革小物のアクセントとしても重宝します。
ドットボタンのデメリット
短所は取り付けがやや面倒なことです。専用のプレス機や打ち具が必須のため、道具が揃っていないと家庭では扱いにくいのが実情です。また金属製で硬いため、薄い生地や細かな装飾の洋服には不向きなことがあります。さらに耐久性・強度が高い分だけ価格もやや高めになるケースが多い点も気になります。
スナップボタンのメリット
スナップボタンの長所は手軽さと多用途性です。縫い付けタイプならミシンで取り付けでき、プラスチック製なら工具なしで付け外しが可能です。また、豊富なカラーや形が揃っているため、デザインの幅も広くおしゃれに仕上げられます。簡単に交換・取り外しできるものが多く、万が一破損しても修繕・交換しやすいのもメリットです。
スナップボタンのデメリット
欠点としては、一般にドットボタンより耐久性が劣る点が挙げられます。糸付けタイプは時間とともに糸が緩む場合があり、プラスチック製は激しい力が加わると割れることがあります。また、プラスチック製スナップボタンは色落ちや退色が起こりやすいため、重要な衣類には向かないと考えられます。強度と永続性が求められる用途では、ドットボタンを選ぶ方が安全です。
まとめ
スナップボタンとドットボタンは似た形状をしていますが、用途や取り付け方の違いから使い分けることで製品の完成度が高まります。ドットボタンは強度と高級感が魅力で、厚手生地や重要な箇所に最適です。スナップボタンは手軽さとデザイン性が優れ、日常的な衣類や小物に向いています。どちらも正しい使い方をすれば非常に便利な留め具ですので、この記事を参考に素材や用途に合わせて最適なボタンを選んでください。
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