ジーンズやコートのファスナーが長すぎるとき、自分でファスナーを短くできれば便利です。この記事ではファスナー詰め加工の基本的な手順と必要な道具、作業時の注意点を解説します。初心者でもわかりやすいよう、2025年の最新情報として手順を詳しく紹介します。
ファスナーの長さ調整サービスもありますが、自宅でDIYで調整する方法を知っておくと便利です。この内容を読めば、初めてでも簡単にファスナーを短くできるようになります。
必要な道具やポイント、失敗例なども説明するので、裁縫初心者でも安心してください。ぜひ参考にしてください。
ファスナーを短くする方法
ファスナーの長さを短くすることは「ファスナー詰め加工」と呼ばれ、アパレル業界では一般的な加工方法です。ファスナーを短くするときには、まずファスナーの仕組みや各パーツについて理解しておく必要があります。基本的にはファスナーを構成する部品を取り外し、不要な部分を切り落として再度パーツを取り付ける手順を踏みます。
自宅でファスナーを短くするメリットは、手元に合う長さのファスナーを手軽に作れる点です。たとえば既製品の服に長めのファスナーが使われているときや、手芸店で希望のサイズが売っていないときなどに便利です。必要な道具をそろえれば、ミシンや高度な技術がなくても挑戦できます。
ファスナー詰め加工とは
「ファスナー詰め加工」とは、ファスナーの長さを短く調整する加工のことです。ファスナーの余分な長さを取り除いて、もともとの長さより短く仕立て直します。この加工は主に衣類やバッグのサイズ調整に用いられ、例えばジャケットの丈を詰める際にファスナーも一緒に短くするケースなどがあります。また、逆に長すぎるファスナーを希望の長さに切り詰める際にもこの作業を行います。
家庭でのDIY加工でも「ファスナー詰め」という言葉が使われることがあります。加工の基本は、ファスナーの上下にある固定具(上止め・下止め)を取り外し、必要な長さを設定したら不要部分を切り落とし、再度固定具を取り付けて補強します。このように順を追って丁寧に作業すれば、ファスナーを簡単に短くすることができます。
ファスナー各部の名称
ファスナーを短くする手順を理解するためには、ファスナーの各部名称を押さえておくことが大切です。主な部品は以下の通りです:
- エレメント(務歯)…ファスナーのかみ合わせ部分の歯です。金属や樹脂でできています。
- テープ…ファスナーの両端に縫い付けられている布部分です。
- スライダー…ファスナーを開閉する際に上下の歯をかみ合わせたり離したりするパーツです。
- 上止め(うわどめ)…スライダーが上から抜けないように止める金具です。
- 下止め(したどめ)…スライダーが下から抜けないように止める金具です。クロージャータイプのファスナーでは下端に固定されています。
これらの部品を適切に取り外したり取り付けたりすることで、ファスナーの長さ調整が可能になります。加工前にどの部品がどこに付いているか確認しておくと良いでしょう。
ファスナーを短くする主な理由
ファスナーを短くする理由はいくつかあります。代表的なケースとしては、洋服やバッグのリメイク時に既存のファスナーが長すぎる場合です。既製品のジャケットやパーカーを丈詰めする際、裾まで届かないようファスナーの長さを短くする必要が生じます。
また、手芸で洋服を制作したときに、購入したファスナーがパターンより長かった場合も短くする必要があります。ショップでは長いファスナーを好みの長さに調整してくれるサービスもありますが、自宅でDIYできればコストも抑えられます。さらに、丈詰めやサイズ直しだけでなく、ファスナーの形状を変えずに短くするために、エコ活動として愛着のある服を長く使う方法としても活用できます。
ファスナーの種類と短くする際の違い
ファスナーには大きく分けて「オープンファスナー」と「クローズドファスナー」の2種類があります。それぞれ構造が異なるため、短くする際の手順も少し違います。
オープンファスナーとは
オープンファスナー(片開き・両開き)は、両端が離れるタイプのファスナーで、主にジャケットやコートなどに使われます。下端に蝶棒(ちょうぼう、通称「ピン」)と呼ばれるパーツがあり、もう一方に平たい箱環(はこわ)を取り付けることで、着脱時にファスナー全体が分離するようになっています。
オープンファスナーを短くする場合は、下端の蝶棒・箱環を切り取ることになりますが、一度取り外すと再度付け直すのは難しい構造です。そのためオープンファスナーは、使っている衣類から一度ファスナー全体を外して、テープごと付け直す方法が基本となります。つまり、オープンファスナーは短くする手順がやや複雑で、専用の道具や技術が必要になる場合があります。
クローズドファスナーとは
クローズドファスナー(片開きファスナー)は、片側だけ開閉するタイプで、下端が固定されているファスナーです。主にズボンやスカート、バッグなどで用いられます。下端には下止め金具が付いており、ファスナーを分離しない構造になっています。
クローズドファスナーを短くする場合は、上端の上止め金具を外してスライダーを外し、テープから不要な歯を取り除いた後に上止めを再度取り付けるという流れで作業します。下端は固定されたままなので、上止めを外してから必要な長さになるまで歯を抜き、再び上止めをつけて完成になります。一般的にはオープンファスナーよりも簡単ですが、下端の固定部分は外せないため、加工する長さには限界があります。
短くする際の違いとポイント
短くする際の違いとして、オープンファスナーは下端の固定具(蝶棒・箱環)の再利用ができない点が挙げられます。そのためオープンファスナーでは下端を切り落とすとファスナーそのものが機能しなくなることに注意が必要です。実際は下端を変更せずにファスナーを布から外して付け替えるか、あるいはファスナー全体を新しくする方法が一般的です。
クローズドファスナーの場合は、下端の下止め金具はそのまま残し、上端だけを外すので作業が容易です。ただし、短くできるのは上端からの長さだけで、ファスナー全体の長さを大幅に短縮するのは難しいです。どちらのファスナーでも、短くする前にどの部品が可動するか、どこまで切ってよいかを確認しておくことが安全な作業のポイントです。
ファスナーを短くする前の準備と必要な道具
ファスナーを短くする作業を始める前に、まず作業場所を整え、必要な道具を用意しておくことが大切です。安定したテーブルで作業し、明るい場所を選びましょう。また、ファスナーや生地を傷つけないよう、作業中に周囲が汚れないよう新聞紙などを敷いておくと安心です。
必要な道具・材料
ファスナーを短くする際に用意する主な道具と材料は以下の通りです。
- 定規・メジャー…ファスナーの長さを正確に測るために必要です。
- マスキングテープやチャコペン…ファスナー上で印を付ける際に使います。マスキングテープは目立ちにくく、作業後も跡が残りません。
- ペンチ(プライヤー)…上止めや下止めを取り外したり、再度取り付けるときに使います。細い先端のペンチがあると作業しやすいです。
- くい切り・目打ち…コイルファスナーの場合はくい切りでエレメント(歯)を切断します。目打ち(刃先の細い道具)は、エレメントを取り外す際に使用します。
- ハサミ、ピンキングばさみ…ファスナーのテープ端をカットするために使います。ピンキングばさみを使うと布端のほつれを抑えながらカットできます。
- ライターやチャッカマン…通常のハサミでカットしたテープ端を溶かしてほつれ止めをする場合に使用します。熱で布端を融かし、ほつれを防止します(使い方には十分注意)。
これらの道具をそろえておけば、後の作業がスムーズに進みます。特にハサミとペンチは必須なので、家庭にない場合は手芸店やホームセンターで購入しておきましょう。
作業前の準備と下準備
作業を始める前に、まず短くしたい長さを決めて印を付けます。ファスナーの長さは通常「下止めからスライダーの頭まで」を測った長さで表されます。目標の長さを定めたら、メジャーで計測し、マスキングテープやチャコペンでファスナーの裏側に印をつけましょう。裏側に印を付けると表から見えにくくなります。
次に、作業がしやすいようにファスナーを作業台に固定します。片側だけを布に仮止めするか、ファスナー自体を両手でしっかり押さえるなどして、滑らないようにします。スライダーは動かない状態にしてから作業すると事故を防げます。また、上止めを外す際に周囲の布地を傷めないよう、ペンチを使うときは生地に下支えを当てるなど工夫してください。
ファスナーを短くする具体的な手順
次に、実際の手順をステップごとに解説します。基本的には「測る→上止めを外す→歯を外す→上止めを再利用して固定→不要部分を切り落とす」という流れです。
ステップ1: 長さの計測と印付け
まず、最終的にどれくらいの長さにしたいか決めます。例えば、20cmのファスナーを15cmにしたい場合、20cmのファスナー上で5cm分を短くする計算です。メジャーで下止めからスライダーの頭までの長さを測り、必要な長さの位置にマスキングテープで目印をつけます。マスキングテープを使うと剥がしやすく、布を傷めません。目印はファスナー裏側のテープに付けると、仕上がりに目立ちにくいです。
ステップ2: 上止めを取り外す
次に、マークより上側にある上止め金具を取り外します。クローズドファスナーの場合、上止めはバックル状になっており、ペンチで挟んで歪ませれば簡単に外れます。外した上止めは失くさないように保管しておきます。オープンファスナーの場合も上止め(スライダーの反対側にある締め具)を外しますが、こちらは蝶棒(ピン)が兼用になっていることもあるので注意が必要です。
上止めを外したら、スライダーは前後に動かせるようになります。この状態でスライダーを端まで移動させ、エレメント(務歯)を外しやすくしてください。上端があらかじめ外れていることで、次の工程で歯を外す作業が容易になります。
ステップ3: エレメント(務歯)の取り外し
印の位置までの長さが決まったら、不要部分のエレメント(務歯)を取り外します。ファスナーの種類によって外し方が異なります。コイルファスナー(ナイロン製などの連続したコイル歯)であれば、くい切りや目打ちを使ってテープを傷めないように歯の根元を丁寧に切断し、歯を取り除きます。金属製ファスナーの場合は、ペンチで歯の片側を軽く折り曲げるようにして外すと、次第にエレメントを抜き取ることができます。
例えば、金属ファスナーのエレメントは鋭利な部分なので、ペンチで上下から挟んで歯を曲げていきます。コイルファスナーはナイロン素材なので、目打ちで少しずつ織り糸を浮かせながらコイルを外していきましょう。どちらも作業中はテープが必要以上に裂けないように、丁寧に行ってください。
ステップ4: 上止めを再度取り付ける
エレメントを取り除いたら、先ほど外した上止め金具を印を付けた位置に再度取り付けます。これが新しいファスナーの上端になる部分です。コイルファスナーの場合は外した上止めをそのまま使うか、新しいものに取り替えても構いません。ペンチを使い、上止めをテープにしっかり固定します。上止めがしっかり固定されると、スライダーが上から抜けなくなります。
オープンファスナーの場合は、蝶棒や箱環(挿し込み用の金具)を新しい位置に設置します。蝶棒は挿入口に差し込み、ペンチでつぶして固定します。これにより、ファスナーにスライダーを取り付ける際の起点ができます。しっかり取り付けられたことを確認してから次のカット作業に移ってください。
ステップ5: 不要部分をカットする
最後に、余分なファスナーの長さをカットします。印を付けた位置より上のテープと歯をすべて切り落とし、不要部分を処理します。カットはハサミやピンキングばさみを使用しますが、ピンキングばさみを使うとテープ端がジグザグになり、ほつれにくくなります。ピンキングばさみがない場合は普通のハサミで切り、切り口に熱(ライターで軽く炙る)を加えて布端を固めておくといいでしょう。
切り落としたあとは、テープ端の処理が重要です。糸がほつれないよう、周囲と同系色の糸で数針縫い締めるか、布用接着剤(ほつれ止め液)を少量塗っておくと安心です。これでファスナーが短く仕上がり、スライダーがきちんと新しい上止めにかみ合う状態になります。最後に何度かスライダーを往復させて動作を確認し、開閉がスムーズなことをチェックしましょう。
ファスナーを短くする際の注意点
ファスナーを短くする作業には注意点がいくつかあります。特に慣れていない人は、事前に注意ポイントを押さえてから作業を進めましょう。
下止め(蝶棒・箱)の取り扱い
ファスナーの下端に付いている下止め(蝶棒・箱)は、テープと一体化しているため、一度外すと再利用できません。オープンファスナーの下止めを切り落とすと元には戻せないので、この作業を行う場合はファスナー自体を布から外して取り付け直す必要があります。
ポイント:オープンファスナーでは、下止め(特に「蝶棒」や「箱環」)を切断すると元に戻せない構造になっています。下止めを失った場合、そのファスナーは組み立てられなくなるため、なるべく下端を固定したまま作業するか、新しいファスナーを用意することを検討しましょう。
テープのほつれ防止と仕上げ
テープをカットしたあとは裁断面がほつれやすいので、必ずほつれ止め処理を行います。ジグザグにカットできるピンキングばさみを使うとほつれを減らせますが、なければテープ端をライター等で軽く炙って溶かし、糸くずが出ないようにします。また、実際に使用する前に何度か開閉を試し、ほつれてこないか確認してください。
布地のタイプによっては、カット面を小さく折り返してミシンでステッチする方法も有効です。ジーンズやデニム生地など厚手の生地なら、ステッチを入れることでほつれを完全に防げます。さらに、補強としてミシン糸でジグザグ縫いやほつれ止め液を施すと、ファスナーの耐久性が高まります。
作業中の注意点と失敗しないコツ
ファスナー短縮作業中は細かいパーツを扱うため、作業環境と手元の管理に気をつけましょう。小さな金属片や糸くずが散らばるので、床やテーブルに新聞紙を敷くと後片付けが楽になります。また、ペンチやくい切りなどの工具を使う際は、間違って指を挟まないように注意してください。
スライダーや金具は小さいパーツなので、なくさないように保管することも大切です。作業を急ぐと誤って必要なパーツを紛失することがあるため、焦らず一つひとつ確実に取り外しましょう。特にオープンファスナーの蝶棒や箱環は代替品がないので、外す必要があるときは慎重に作業してください。
- メジャーで測った後は必ず長さを二度確認する。測り間違いを防ぐため、実物にマジックで印を付けるのも有効です。
- ペンチの先端が滑ると怪我の原因になるため、布地に傷がつかないよう滑り止め用の布を当てるか、前もって布から少し浮かせてつまむようにする。
- ライターを使うときは換気に注意し、火傷に気をつけて作業する。燃え移りやすい素材に近づけ過ぎないこと。
- 短縮後は最初は糸がこなれていない場合があるので、開閉を何度か行って動きを確認すると安心です。
まとめ
今回はファスナーを短くする方法について解説しました。基本的な流れは、まず必要な長さを測り印をつけてから、上止めやエレメントを外していくというステップです。ファスナーの種類や素材によって扱い方が多少異なるため、オープンファスナーかクローズドファスナーかを最初に確認しておくと失敗が少なくなります。
また、作業に必要な道具としてペンチやくい切り、ピンキングばさみなどがあると効率的です。記した注意点に気をつけて作業すれば、自宅でも安全にファスナーの調整ができます。失敗が心配な場合は少し長めに印を付け、余裕を持ってカットするのがおすすめです。
ファスナーが目的の長さに短くなれば、衣類や小物の仕上がりもすっきりします。手順をしっかり理解して慎重に作業し、DIYでファスナー短縮に挑戦してみてください。
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