両フリルは、布の両端にフリルを施した装飾で、ドレスや洋服を華やかに演出します。
本記事では両フリルの基本的な作り方を初心者にも分かりやすく解説します。必要な道具や生地の選び方、裁断方法から縫製のコツまで丁寧に紹介するので、両フリルを取り入れた素敵な作品作りに挑戦してみましょう。
目次
両フリルの作り方:基本の概要
両フリルは、生地をリボン状に裁断して両端を仕上げ、中央にギャザーを寄せるフリルです。片側だけにフリルを付ける場合に比べて手間がかかりますが、完成したフリルは豪華なボリューム感が出て、華やかな印象になります。ドレスやブラウス、子供服の袖口などに用いられ、優雅でエレガントな雰囲気を演出します。
巻きロックで端を処理するのが一般的で、生地端が丸まってフリル状に仕上がるのが特徴です。巻きロックとは、生地の端をロックミシンで細かく包み込むように縫う仕上げ方法のこと。上ルーパーにウーリー糸(伸縮性のある糸)を使うことで、ふんわりした丸みが出ます。両フリルではこの巻きロックを利用し、ほつれにくく美しいエッジを実現します。
両フリルとは何か
両フリルは、その名称の通り「両端にフリルがある」装飾です。一枚の帯状布の両端を巻きロックで仕上げ、中心へギャザーを寄せることで、中央部分に厚みができる立体的なデザインになります。片側だけにフリルを付ける「片側フリル」とは異なり、両側同時にボリュームを出せるため、見た目の華やかさが一層増します。
手間はかかりますが、子供服やドール服でも人気のあるテクニックです。服や小物の袖口や裾に使えば、ふんわり可愛らしい印象になります。ファッション性が高い反面、生地の裁断や縫い合わせにコツがいるため、初心者には少し難しく感じられるかもしれません。道具をそろえて正しい手順で進めれば、ミシン初心者でも美しい両フリルが作れるようになります。
基本制作ステップ
両フリル作りの基本ステップは以下の通りです。それぞれの工程を順番に行えば、効率よく素敵なフリルが仕上がります。
- 生地の裁断: 仕上がり寸法の2~3倍の長さで布を横幅に裁断する。
- 端の処理: 巻きロックもしくはミシンのジグザグ縫いで、切り口を始末する。
- ギャザー寄せ: 縫い代部分に2本の粗ミシン(縫い目を最大に設定)をかけ、上下の糸を引いて布にギャザーを寄せる。
- フリルの取り付け: ギャザーを寄せたフリル布を本体布に重ね、布端を合わせて縫い付ける。
上記の手順を確認しながら進めましょう。次項以降でそれぞれのステップの詳しい方法とポイントを解説します。
両フリルを作る道具と材料
両フリルをきれいに作るには、適切な道具と素材をそろえることが重要です。特に、ロックミシン(巻きロック機能)を使うと仕上げが簡単になりますが、家庭用ミシンでも工夫次第で対応可能です。ここでは必要な道具と生地の選び方を紹介します。
必須の裁縫道具(ミシン・ロックミシン)
両フリル作りであると便利な道具は下記の通りです。
- ロックミシン(巻きロック機能): 生地端を包み込むように縫い、切りっぱなしでもほつれない仕上がりにする。上ルーパーにウーリー糸を使い、端をふんわり丸める。
- 家庭用ミシン(広い縫い目設定が可能なもの): ロックミシンがない場合は、粗ミシン(最大縫い目)とジグザグ縫いを組み合わせて端を始末できる。
- ギャザー押さえ(収縮押さえ): ミシン付属のギャザー用押さえを使うと、均一なギャザー寄せが簡単にできる。
- 定規・メジャー: フリルの幅や長さを正確に測るために必需品。
- チャコペン・仮止め用品: 縫い代やギャザー止まり位置に印を付け、フリルを仮止めするためのまち針やクリップ。
ロックミシンを使うと、生地端の始末とほつれ止めが同時にできます。もしロックミシンがない場合は、ミシンのジグザグ縫いや2つ折りの縫い代処理などで代用しましょう。ロックミシンで扱いにくい薄手の生地は、布端を少し内側に折ってからジグザグ縫いすると、さらにほつれにくくなります。
ワンポイント:ロックミシンがない場合、家庭用ミシンのジグザグ縫いで代用できます。生地端を縫い代に折り込みながらジグザグ縫いすると、ほつれにくい仕上がりになります。
生地の選び方とおすすめ素材
両フリルに向く生地は、薄手で柔らかいものです。薄手のコットン、シフォン、オーガンジーなどはギャザーがきれいに寄り、軽やかな仕上がりになります。厚手の生地や硬い生地だとボリュームが出にくくフリルが重くなりやすいので注意しましょう。ストレッチニットやレース地も個性的な雰囲気になります。
フリルを裁断するときは、生地の伸びや横方向のシワにも注意します。同じ布でも織りや染めむらで仕上がりが変わることがあるため、幅が一定のものを選びましょう。必要な長さは仕上がりの2~3倍が目安です。巻きフリルにする場合は2.5倍程度、たっぷりギャザーにするなら3倍程度用意すると、美しいふくらみが得られます。
量産用の生地ではなく、作りたい作品に合ったラフな生地感や柄の布を選ぶのもおすすめです。ただし、柄合わせが必要な場合は柄が途切れないように長めに取ることを忘れずに。複数の色を組み合わせて作ると、より華やかな印象になります。
糸やその他の付属品
糸は生地に馴染む色を選び、縫い合わせ後に目立たないものにします。特にロックミシンではウーリー糸(伸縮性のある糸)を上ルーパーに使用すると、生地端が丸みを帯びてふんわりします。縫い代に粗ミシンをかけるときは、上糸と下糸を異なる色にしておくとあとから引く糸が分かりやすく便利です。
フリルを縫い付けるときにはまち針や裁ち目かがりテープも役立ちます。フリルの両端やギャザー止まり位置に印を付ければ、縫い合わせる際にズレを防げます。また、縫い終わった後のほつれ止めにはテープや液状のほつれ止め剤を使うと、仕上がりが長持ちします。
両フリルの作り方手順
ここからは実際の両フリルの作り方をステップごとに説明します。まず生地の裁断方法から始めて、端処理、ギャザー寄せ、縫い付けまで順番に解説します。作業中はしっかりと計測し、丁寧に仕上げていきましょう。
生地の裁断(幅と長さの決め方)
フリルの幅はデザインや好みによりますが、一般的には5~15cm程度が目安です。パーツに合わせてフリル幅を決めたら、仕上がり位置までの縫い代を含めて生地を裁断します。幅を決める際は、ギャザーで縮める部分も考慮して、縫い代分を忘れずにプラスします。フリルの完成前の長さは、仕上がり長さの2~3倍にして裁断しましょう。
例えば、裾に付けるフリルならスカートの裾周りの長さを測り、その2倍以上の長さの布を用意します。曲線部分がある場合は少し余裕を持たせて裁断し、縫いながら形を整えます。生地をまっすぐ裁断するためには、織り目や縫い目に沿って線を引くと正確に切れます。
エッジの仕上げ方:巻きロックと縫い方
両端のエッジは巻きロックミシンで仕上げるのが一般的です。巻きロックでは、上ルーパー糸が生地端を包み込むように巻きながら縫い進めます。針は1本だけ使用し、生地端がロックミシンの針板から落ちるようにして縫います。生地の端が自然に丸まるよう糸調子を少し強めに調整すると、巻きロック特有の丸い断面になります。
巻きロックが難しい場合は、家庭用ミシンでの処理も可能です。縫い代を少し内側に折り込み、直線縫いまたはジグザグ縫いで端を留めます。折り目をアイロンで押さえておくと、ミシン縫いの際に布がずれずにきれいに縫えます。細めの裾縫いステッチや三つ折り縫いも手軽な代替手段です。
ギャザーの寄せ方(手縫い・ミシン)
ギャザーはミシンでも手縫いでも作れますが、ミシンを使うとスピーディーで均一に仕上がります。ミシンで寄せる場合はステッチ幅を最大に設定し、フリル生地の縫い代部分に2~3本荒い直線縫い(バイステッチ)をかけます。縫い終わった糸の下糸(もしくは上糸)を少しずつ引いていけば、生地が均等に縮み、ギャザー状になります。
上糸と下糸の色を変えておくと、どちらを引くか分かりやすくなります。ミシンにギャザー用押さえがあれば、布端を折り込んで押さえながら縫うだけで自動的にギャザーが寄ります。ただし、厚手の生地や長さが長いと機械が詰まりやすいので、押さえを使わずに手動で糸を引く方法がおすすめです。
フリルの縫い付け(本体への取り付け方)
ギャザーを寄せたフリル布は、本体布に重ねて縫い合わせます。まずフリルの布端を本体の縫い代端と合わせ、まち針で固定します。ギャザーの量を均一に調整しながら、本体の縫い代幅に沿って直線縫いで縫い付けましょう。ギャザー布の端処理がしっかりされていれば、縫い合わせも滑らかに行えます。
縫い付けた後は縫い代を整理します。縫い代を左右に折り込み、必要であれば巻きロックやかがり縫いで処理しておくと、ほつれにくく丈夫になります。さらに、フリルの付け根にほつれ止め液を軽く塗っておくと、長期使用でもほつれが気になりません。きれいな仕上がりを目指して余分な糸や縫い代を整えましょう。
両フリルのアレンジと活用アイデア
両フリルは幅や段数を変えたり、色を工夫したりするだけで、多彩な表情が生まれます。ここでは、簡単にできるアレンジ例や、他のフリルとの違いについて紹介します。アイデアを参考に、オリジナルフリルの制作に役立てましょう。
フリル幅・段数で変わるデザイン
両フリルの幅を細くすると上品・繊細な印象になり、幅を広くするとふんわりと豪華な雰囲気になります。また、1段のフリルだけでなく同じ布で2段、3段と重ねればボリュームが増して華やかさがアップします。2段にする際は、上段と下段の長さ比率を変えると立体感が出ておしゃれです。
例えば同じ長さのフリルを2枚重ねると均等に寄りますが、下段を長めにして上段を短くすると段差が際立ちます。巻きフリルと段フリルを組み合わせることで、さらに変化に富んだデザインも可能です。
色や重ね付けによるアレンジ例
違う色や柄の布を組み合わせると、表現の幅が広がります。たとえば、ベース布とフリルに異なる色を使えばアクセントになり、フェミニンな雰囲気が強調されます。また、フリルにレースやオーガンジーを重ねることで透け感のある豪華な仕上がりになります。ミシン糸の色を変えてフリルラインを見せるのもおしゃれな手法です。
さらに、リボンやボタンをフリルの重なりや端にあしらうアレンジもおすすめです。フリルとリボンを組み合わせるとガーリーな印象が強まり、ドレスやブラウスのポイントになります。普段使いのバッグや小物にも取り入れて、オリジナルデザインを楽しみましょう。
両フリルと他のフリルとの違い
両フリル、片側フリル、レースフリルの特徴を比較した表です。それぞれの違いを参考に、作品のイメージに合ったフリルを選びましょう。
フリルの種類 | 特徴 |
---|---|
両フリル | 生地の両端にフリルがつくためボリューム感があり、高級感のある仕上がりになる。端処理をしっかり行うため丈夫でほつれにくい。 |
片側フリル | 生地の片側だけにフリルを付けるシンプルなタイプ。作業が少なく手軽だが、ボリュームは控えめ。広い面積に飾り付ける際に向いている。 |
レースフリル | レース素材を使ったフリル。透け感があり軽やかな印象。市販のレーステープを利用することも多く、エレガントなアクセントになる。 |
フリル素材や仕上がりの好みに合わせて使い分けましょう。
まとめ
両フリルは作る手順を理解すれば初心者でも楽しめる装飾テクニックです。今回は両フリルに必要な道具の選び方、生地の裁断方法、巻きロックによる端処理、ギャザー寄せ、取り付けまで、基本の作業手順を詳しく解説しました。ロックミシンやギャザー押さえを活用すれば作業がスムーズできれいに仕上がります。まずは基本ステップを押さえたうえで、幅や色、段数を変えたアレンジにも挑戦しましょう。少しの工夫で、既製品とは一味違う素敵なフリルが完成します。
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